「認知症」という病気があります。最近は、知っていると言う方も増えてきたのではないでしょうか。85歳以上になると3人に1人は認知症になると言われています。そのためか、私たちは認知症の方やそのご家族様から相談をお受けする事も多いです。色々とお話をお伺いし、よく相談しながらその方々に一番合う介護サービスを一緒に考えています。
ところで当事者の方が「何か変だなあ?」と違和感を覚えてから、病院で認知症と診断されるまでの期間は平均で1年余りかかっているそうです。また診断されてから実際に介護保険のサービスの利用を始めるまでの期間は、平均で1年3か月ほどかかっているそうです。2年以上の空白期間がある事になりますが、認知症という病気の場合は、できれば早く何らかの社会的支援と繋がる方が良いと言われています。お薬がある場合は服用を続けるのが一番ですが、やはり少しずつ進行する病気です。ご家族などの介護されている方の負担も少しずつ重くなりがちですので、早めに社会的支援と繋がることが推奨されています。
ある統計によりますと、認知症と診断された後にお薬の服用だけ続けていて、社会的支援に繋がらなかった場合は、病気の進行が速かったそうです。
でも「社会的支援」というのは、デイサービスに行くことだけではありません。ご本人様は大きな不安を抱えていると思いますし、「まだ大丈夫」「人に知られたくない」というお気持ちをお持ちだと思います。デイサービスやショートステイに行くのをためらっている方の場合には、たとえば看護師さんに自宅に来てもらう介護サービスをご提案する事もあります。どうしても介護サービスを利用するのが嫌だと仰る方には、地域包括支援センターなどをご紹介して、他の社会的支援に繋げてもらうこともあります。
また何かの記事で、地方のある病院では診断後の「声かけ」を重視していると目にしました。「認知症になることは、恥ずかしい事でも情けない事でもなく、なったらなったで楽しく生きていけばいい。人生100年時代で誰もが認知症になりうる。不便な事はあるが不幸ではない」と声かけをしているそうです。またご家族には「本人ができなくなった事を咎めるのではなく、できた事を褒めるように考え方を変えてほしい」と伝えているそうです。こういう声かけも、大事な社会的支援だと思います。
2025.7.12 おか