本屋をぶらぶら見ていたら、「低山歩き」という文字に目が留まりました。年をとって、自然に親しみたい気持ちが湧いてきても、最初から本格的な登山は危険も伴うしハードルも高い。それだったら、まずは身近な低山をハイキングしてみませんか、というような趣旨のようです。
府中で有名な低山は「浅間山」。せんげんやまと発音します。標高80メートル。東府中駅からバスで浅間山公園下車。数年前に一人で初めて登ったのですが、鬱蒼とした山道で、たまたま他に歩いている人もおらず、このまま迷子になったらどうしようと本気で思いました。明治大学野球部のグランドから、選手たちの声が聞こえるのを頼りに方向を確認しながら歩きました。
日野市にある高畑不動尊の裏山が「高幡山」。標高130メートル。6月には山一面に咲くアジサイが有名です。さすがは重要文化財のあるお寺さんで、四国八十八ケ所巡拝を模した山内の巡拝コースがあり、句碑を見ながら、ポイントラリーの気分で歩くことができます。つまり迷子の不安をあまり感じずに歩くことができます。
さて、最も最近歩いたのが藤沢市にある「新林(しんばやし)公園」。尾根に沿った約1.5kmの散策路 (最高地点標高67m)があるのですが、「アップダウンがかなり激しい山道です」と案内図が脅かす通り、狭くて険しい道が続きました。かなり上ったので、下り道だと思ってほっとしたら、また登り道。引き返すか進むか、二者択一のルートで足元も悪く、ここで足をくじいて助けを呼んだら、プチ遭難だな、という思いが胸をかすめました。鬱蒼とした森の中で見通しが利かない、というのはとにかく不安なもの。もう嫌だ、戻る!と何度も挫けそうになりましたが、そのたびに美しい黒い蝶や、のんびりした鳥の鳴き声に励まされ、なんとか1周することができました。
2025.8.23 こしごえ