NHKの夜のニュースで江の島の海上神輿渡御の様子が流れていました。
白いふんどし一丁の姿で勇猛果敢に神輿を担いで海に向かう担ぎ手たち。
「この祭りは、向かいの浜の神社から流れ着いたご神体を漁師が引き上げたのが始まりです」
向かいの浜。アナウンサーさん、どうして腰越って言ってくれないんですか!
むかしむかし、江の島の漁師がスサノオノミコトの木像を見つけて、八坂神社に祀ったけれど、元々は腰越・小動(こゆるぎ)神社から流されてきたことがわかりました。
そこで、1年に1度、神輿に御霊を移して、江の島から腰越に向かい、小動神社からは迎えの神輿を出し、無事に再会を果たしていただくことになりましたとさ。
町の人たちが盛り上げるために囃子や踊りを行い、同時進行で決められた神事が粛々と進行する。そこはくらやみ祭りと同じです。
朝囃子があって、各町の山車が順番に出て、子ども神輿があり、最終日は屋台が出て、夜は婦人会の流し踊り。
いつもは昼の山車巡行を見るだけでしたが、今年は夜の「ぶんまわし」を見ることができました。
夜、宿の下が尋常じゃない盛り上がりを見せており、窓を開けて様子をみると、なんと山車がグルグル高速回転していました。
山車の上の囃子方はまったく動じることなく、演奏を続けており、高速回転をしかける衆は遠心力で回しては飛び降りる。
流し踊りを終えたご婦人までもが、山車に飛びつき、走って回して飛び離れる。浴衣姿で!
昭和の公園でよく見かけた グルグル回転する遊具(回旋塔というらしい)を思い出してもらえるといいと思います。
私はトルコの旋回舞踊「セマー」を思い出しました。
あとから調べてみると、日本各地に回転する山車は存在しているようですが、腰越の山車は行くぞ、やるぞという思いつきでいきなり回し始めている様子があり、正気の沙汰ではない…というのが正直な感想です。
そして、たぶん夜にしかやらない。
宿の上からカメラを向けている外国人を見かけて、「だめだだめだ、下りてきて!」とおじさんが叫ぶ。神様を見下ろすなんて、もってのほか、というのがちゃんと伝わったでしょうか?
江ノ電と山車、すれ違う姿を狙うカメラマンがいっぱいいました。
祭りの参加者たちは江ノ電に向かって、思い切り手を振ります。祭りのことなど知らない観光客が、びっくりした顔でこちらを見ています。
いったいなんだろう?江の島の隣の駅の小さな町で、いったい何が起きているのかな?
気になって調べて、訪れてくれる人たちがきっといる。みんなそう信じて手を振っているのかもしれません。
2025.7.19 こしごえ