府中市に住み、20年以上が過ぎました。
それまでは横浜市内の新興住宅地に住んでいました。
何もなかった土地に鉄道が敷かれ、駅を中心とした町が作られ、都内に通うサラリーマン家庭が多数、という環境です。
ですから神社仏閣が少なく、祭りがなく、銭湯がなかった。
歩けば歴史にぶつかる、年がら年中祭りがある、という府中の環境はとても新鮮でした。
次に驚いたのは、人間関係が重層的なこと。
学校で「AさんとBさんはいとこ同士なんだって!」という話を聞いたり、「保育所のC先生のお子さんと同じクラスになったよ」というような出来事が度々あり、自分の子ども時代にはあまりなかったことでした。
そして方向音痴の自分が、なんとなく方向感覚を掴めるようになりました。東に行けば東府中があり、西に行けば西府や西原町がある。北は北山町、南は南町、とてもわかりやすいのです。〇〇が丘、〇〇台だけでは掴めない感覚です。
子どもの頃の自分は、つながりの感じられない世界にポツンと、どうしてここにいるのかな…と思うような感じだったのですが、府中には「昔からここがある」「みんながつながりあって町を作っている」という印象があります。
時には煩わしいつながりも、逃げずに紡ぐって大切なんだ。そんなことを府中の人たちから教わり、今に至っています。
2022.3.12 こしごえ