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桃の思い出

娘の嫁ぎ先からお中元が届きました。娘とお姑さんが相談して選んだ、夫が大好きな銘柄のビールの詰め合わせです。いつも飲んでいるビールですが、夏限定のデザイン缶にテンションが上がります。
お返しに何がいいだろう?夏らしくて、同居の高齢なご両親も一緒に楽しめるもの。考えた結果、桃ゼリーの詰め合わせを贈ることにしました。農事暦では、桃は葡萄と並んで7月の果実とされています。

桃を見るといつも思い出すのは、小さいときに初めてまるごと1個の桃を食べたときのことです。私は父に連れられて、父のおさななじみが営む教会に行き、静かな教会の木の机に腰かけて、まるごと一個のよく冷えた桃をごちそうになりました。桃を食べたことはあったけれど、細かく切ったものしか食べたことがなかったので、とても感動しました。
父の友人である牧師さんは、ときどき我が家にやってきて、父と楽しくお酒を飲んでおしゃべりをしていました。祖母が亡くなったときは、仏式の葬儀を取り仕切るお坊さんのいる前で、キリスト教としての命のお話をして下さり、なんだかみんなで泣き笑いをしたのを覚えています。
「人生に迷って、正しい道がわからなくなったときは、おじさまのところに行って話を聞けばいいんだ」と自分の中の心の地図にその教会は刻まれていました。実際に行くわけではないのに、「あそこに行けば、助けてもらえる」「どうしたらいいのか教えてくれる」とずっと思っていたのに、その方が70代で亡くなったときはご挨拶もできず、その後、その教会がどうなったのかよくわからないままでした。
今回、この文章を書くにあたり、教会のことを検索してみました。すると、ちゃんと教会が現存しており、素敵な個性の女性牧師さんがいらっしゃることがわかりました。父の友人が創始者として、いつ、どのようにして教会を始めたのか、きちんとホームページに書かれていて、私の心の地図のピースがまたひとつ埋まりました。

2024.7.20  こしごえ

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